社長ブログ

男結び  ~ 本社エントランス前の雪囲いに想う ~

2025.11.18

 暦も11月の半ば、2025年(会社では70期)も残すところ一月半となりました。
 県内の山々には、初冠雪のたよりが届き、うっすらと雪化粧をしています。大分寒くなりました。平地でも、まもなく雪が降ることでしょう。

 先日、天気が良かったので、本社エントランス前に咲く「さつき」の木の雪囲いをしました。雪囲いと言ってもそう大それたものではなく、竹を三本使い、三角錐のようにさつきの木を囲います。もちろん、わら縄も使います。この雪囲いは「社長の重要な仕事」ということで、歴代の社長が脈々と引き継いできた歴史があります。さつきの木が12本あるので、竹は36本必要です。
 昨年も雪囲いをしましたが、わら縄の扱いは大変です。普通のひも結びをしようものなら、うまく締まらずぷらぷらになります。今は、日常でわら縄を使う機会はそう多くありません。もしかすると、若い方たちは、わら縄を触ったことすらないかもしれません。

 わら縄の結び方の基本は「男結び」です。
 実は、この結び方は亡くなった親父に教えてもらいました。中学生の頃だったと思います。秋が深まると、よく雪囲いに駆り出されました。11月の日曜日は決まって庭の雪囲いでした。竹や杭、そっぺ(木の切れ端)、わら縄、はしごなどを父の近くに運ぶのが私の役目でした。庭には、たくさんの木々があり、一日では終わりません。腰に剪定ばさみ、両手に軍手、そして頭には日本手ぬぐいを巻いた父が、かっこよく見えていたのを思い出します。わら縄の端をつかむとシュシュッと枝葉を束ね、あっという間に結わえて、剪定ばさみでザクッと音を立てて颯爽とわら縄を切るのです。はしごも使い次から次へと…。その姿は男らしく憧れたものです。
 「やってみるか!」と言われてわら縄を渡されましたが、当然結べません。固結びやリボン結びしかできない訳ですから、わら縄がしっかり締まりません。「こうすんのよ・・・」と手取り足取り教えてもらったのが「男結び」でした。しかし、そう簡単にできるものではありません。何度やってもうまく締まらないのです。そのうち日が暮れてくるわけです。コツを自分のものにするには、一日程度ではできません。

 男結びとは、強度と実用性に優れた結び方であり、造園や農作業に広く用いられてきました。詳しく言うと縄の端を交差させて輪を作り、もう一方の端を通してシュッと締める結び方です。効率的で、縄を無駄にしません。昔は、日常でも一般家庭で、荷物の固定や簡易的な結束に便利で使われてきたようですが、今は知らない方も多いのではないでしょうか。「もろ結び」とも呼ばれ、よく女結びと対比されます。これは単なる技術的な違いだけでなく、性質や用途、さらには文化的な意味合いをも含んでいます。「力強さ」「安定」を象徴し、男性的な役割や場面で使われることが多かったため、「男結び」と呼ばれるようになったそうです。
 一方、女結びは、見た目が整いやすく、装飾性に富んだ結び方です。蝶結びや水引のように、贈り物や儀礼の場面で使われることが多く、「柔らかさ」「優美さ」を象徴します。緩みやすいという特徴もありますが、解きやすさが求められる場面ではむしろ利点となります。女結びは、精神性や美意識を重視する日本文化の中で発展し、縁結びや祈願などの象徴としても用いられてきたようです。

 最古の結び目は、チェコの洞窟で発見された2万5,000年前のものとされており、石器時代以前から結びの技術が存在していたことがわかっています。ヨーロッパでは、16〜17世紀の帆船時代に船乗りたちが多様な結び方を編み出し、体系化しました。イギリスの大英海洋博物館には約4,000種類もの結び方が登録されており、ロープワークは航海技術の中核を担っていたことがうかがえます。

 結びも奥が深い…。<令和7年11月18日 NO.41>

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